根管治療

「根管治療（こんかんちりょう）」は、虫歯が進行して歯の神経（歯髄）まで炎症や感染が広がった際に行う、大切な治療です。
感染した神経や組織を取り除き、内部を清潔に消毒・密閉することで、歯を「抜かずに残す」ことを目的としています。

歯を失うことは、噛む力や健康、さらにはお顔の印象にも影響します。
そのため当院では、「歯の最後の砦」である根管治療を精密かつ丁寧に行うことを大切にしています。

根管治療は基本的に保険診療で丁寧に対応しつつ、難症例への対応や治療成功率を高めるための精密診断にも力を入れています。

 

治療成功率を高めるための当院のアプローチ

根管治療は、歯科治療の中でも特に時間と技術を要する分野です。
当院では、すべての工程において、再発リスクを最小限に抑え、歯の長期保存を目指します。

• STEP 1診査・診断：CTを活用した「根の道のり」の可視化

  根管治療の成功は、まず根管の形態を正確に把握することから始まります。
  通常のレントゲンに加え、当院では、必要に応じて歯科用CT撮影を行います。
  従来のレントゲンが二次元の平面画像であるのに対し、CTは歯の内部や根の周囲の骨の状態を三次元（3D）で立体的に把握できます。
  これにより、隠れた根管の数や走行、根の先にできた病巣の位置を正確に特定でき、より精密で効率的な治療計画を立てることが可能となります。
  症状の原因をしっかりと特定し、患者さまと治療方針を共有してから、ご理解・ご納得いただいた上で治療を開始します。

• STEP 2感染部分の除去と歯質の温存

  治療を始める際、歯の内部に細菌を侵入させないよう、虫歯や感染した部分を丁寧に取り除き、根管にアクセスします。
  MI（最小限の侵襲）の理念に基づき、歯を必要以上には削らず、できる限り健康な歯質を残すよう心がけます。
  歯質が多く残っているほど、治療後の歯の強度が高まり、長持ちする可能性が高まります。

• STEP 3根管内の清掃・消毒：再発防止の鍵

  この工程こそが、根管治療の成功において最も重要であり、時間と手間をかけるべき部分です。
  専用の細い器具（ファイルなど）を使って、根管の壁に付着した細菌や感染組織を、隅々まで機械的に除去します。
  器具の使用と並行して、強力な消毒薬で根管の中を繰り返し洗浄・消毒します。
  これにより、器具が届きにくい微細な根管内の細菌まで死滅させ、再発を防ぐための無菌的な状態を目指します。

• STEP 4根管充填：長期保存のための密閉

  根の中が完全にきれいになったことを確認した後、「根管充填（こんかんじゅうてん）」を行います。
  再び細菌が根管内に入り込んで増殖しないように、ガッタパーチャと呼ばれる専用の薬剤で根の先まで隙間なく、完全に密閉します。
  この密閉が不十分だと、わずかな隙間から細菌が侵入し、再感染の原因となってしまいます。
  そのため、レントゲンやCTで確認しながら、慎重かつ緻密に処置を行います。

• STEP 5土台の形成・被せ物の装着：機能回復と保護

  根管治療を終えた歯は、神経がないために脆くなり、歯を大きく削っている場合は強度も失われています。
  そのため、歯の強度を補い、被せ物を安定させるための土台（コア）を立てます。
  その後、土台の上に、見た目や噛み合わせを考慮した被せ物を装着します。
  セラミックやジルコニアといった耐久性の高い素材を選択することで、歯を外部の力から保護し、破折のリスクを軽減します。
  患者さま一人ひとりに合った素材をご提案いたします。

• STEP 6定期的な経過観察：安心のためのフォローアップ

  根管治療は、被せ物を装着して終わりではありません。
  治療後も、数ヵ月〜半年ごとにご来院いただき、定期的な経過観察を行います。
  根の先の病巣が治癒に向かっているかをレントゲンでチェックし、異常がないかを確認します。
  この継続的なフォローアップ体制により、再発防止と歯の長期保存を目指します。

 

難症例への対応：抜歯を避けるための外科的処置

通常の根管治療を丁寧に行っても、歯の根の先端にできた病巣が大きく、感染が根管外にまで及んでいる場合など、治療だけでは改善が難しい「難症例」が存在します。
そのような場合、当院では歯を抜かずに残すための「最終的な保存治療」として、歯根端切除術といった外科的処置を行うことも可能です。

 

歯根端切除術（しこんたんせつじょじゅつ）

歯根端切除術とは、歯を抜かずに、歯の根の先端にできた炎症や膿を直接取り除くために行う外科的な処置です。
根管治療（歯の神経の治療）を行っても炎症が治まらない場合や、根の先に病巣が残ってしまう場合に選択されます。

歯ぐきを切開し、歯の根の先端を数ミリ切除（切除した部分に病巣も含まれます）し、感染源を断ち切ります。
その後、切除した根の先端に特殊なセメントなどで封鎖し、細菌の再侵入を防ぎます。

この外科的処置を行うことで、抜歯と診断された歯であっても、ご自身の歯を残せる可能性が生まれます。
患者さまの歯の長期保存のために、あらゆる可能性を追求いたします。



 

まとめ：患者さまの歯の寿命を守るために



台原みなも歯科クリニックの根管治療は、「歯を抜かずに残す」という強い思いのもと、以下の点にこだわっています。




精密診断
CTを活用し、複雑な根管の形態や病巣を正確に把握。

丁寧な処置
感染源を徹底的に除去・消毒し、再発防止に努める。

長期的な保存
難症例には外科的処置も検討し、被せ物装着後の経過観察も継続。




「以前、根管治療をしたけれど、また腫れてしまった」「他院で抜歯を勧められた」といったお悩みをお持ちの方も、諦める前にぜひ一度、当院にご相談ください。